ホントに楽しい!オーストラリア

~楽しいからには理由がある~

暮らすように泊まる ホストだって生身の人間だ

ホテルのフロントと違い、ホテル業と一切関わりない家主でもあるオーナー(ホスト)は、普段の生活を一切変えずに部屋を貸す。

一方の旅行者であるゲスト(今回のケースだと自分が旅行者です)はやっぱり旅行者であって、ホストの友人でも知り合いでもない。

だが、もしかしたら、ホテルと違うところは、この出会いが友人であり、知り合いにもなれるチャンスがあるかもしれない点で、普段の旅行の1面とは確実に異なる。

 

更に、ホストは1人の人間でもある。

部屋を貸して収益を上げることを専念して、ただただホテルのように受付や部屋の清掃に徹しているわけではない(中にはホテルの業務のように徹している人もいるかもしれないが)。

ホストになる人って、どんな人が泊まってくれるのか、どんな国から旅行者として訪れてくれるのか。実はそれを楽しみにしているんじゃないでしょうか?

だったら、積極的にホストと会話して、お互いの理解を深めた方が、多分いい思い出になるかもしれないし、相手にもいい印象を残し、更にはあとにつづく日本人旅行者へのイメージが良くなってくれれば、オーストラリアと日本の両国民の草の根も少しは広がる・・・ちょっと大げさかな。

 

Airbnbのサイトではホストのパーソナルな情報が掲載されており、事前にある程度知ることができるが、それもとても表面的なことだけ。

そういう自分だって、オーストラリアに入国するとき、入国カードに「オフィスワーカー」と書くが、要は「日本ではサラリーマンをやってます」と言っているだけ。これだけで何をしているか理解できる人はこの世にいない。

だから、いったいどんな仕事をしているのか、聞くことから、なぜホストになったのか、話が合うのか、糸口を見つけることにした。

事前に書かれていたホストのパーソナルな仕事の情報は「女子学校へ音楽を教えること」。

日本だとこの意味は楽器の演奏か、歌をうまく歌う方法、楽譜の譜面を読めるようにする、等を思い浮かべた。

そういった理解をしていることをホストである彼女(音楽先生ですね)に伝えると、

「それもやっているけど、主な仕事ではない」

一体、どんな生徒に対して教えているの?

「下は3歳から。上は18歳まで。とにかく幅が広いのよ」

とこともなげに言う。どうやら幅広く女子学生を教えているようだ。

私立なので、一般的にはお金を掛けずに行ける公立の学校とは違い、高額なお金を預けて行かせるため、リッチな暮らしの人が行ける学校なんだろう。

(少し古い記事を参照)

だったら、いったいわざわざ何を教えているのか、とても気になったので聞いてみた。すると・・・

「作曲や作詞、つまり曲の作り方や詞の書き方を教えるのが主なことよ」

と教えてくれた。日本人の自分の発想には全くなかった。そりゃそうだ。女子高に通ったことがあるわけじゃないし。加えて公立学校しか知らない。

実は日本での事情も知らずに驚いていた。

それでは、年齢の範囲も広いので、教えるのは大変では?

「そりゃそうでしょ。年齢がこれだけ幅があれば、いろんな子がいるし」

というようなことを言ったようだ。

ついでに気になったのが、ここはたかだか4か月の新築アパートメント。ということはここに引っ越してくるまではどこにいたのか?メルボルンの他の地域?

「西オーストラリアのキンバリーという街に9か月いたんですよ」

おお、炭鉱じゃなかった、鉱物資源とアウトバックの観光の拠点で、街自身はとても小さいところだ。メルボルンとは比較にならないほど田舎町だ。

「あそこは本当に大変だった。田舎だったし、何もなかったから。でも、とってもいい経験ができた9か月だった」

とっても前向きだ。見習うところがアリアリだ。

ところで、普段は何を聞いてりしているんでしょうか?

「作曲、作詞ではいろんな世界があるので、古典から今はやりの曲でもなんでも聞くようにしているわよ」

(ここから少しディープな音楽ネタが続きますのであしからず)

確かさっき掛かっていたのはアメリカのカントリーミュージックでは?

「さっきの曲、ああ、マムフォードアンドサムズね。あれも聞いてるのよ」

あ、どおりで聞いたことがあると思った。

(因みに、イギリスで結成されたバンドであった)

これって、2013年だったっけ?アメリカコロラド州デンバー郊外にある有名な野外音楽場、REDROCK 野外シアターで、伝説的なライブが開かれた。

その野外シアターって、去年(2013年10月中旬)、まさにちょうど1年前、お仕事の出張でこの場所行きましたよ。と伝えたところ

「え、それは素晴らしい、

Wonderful,Amaging!」

のフレーズを何度言われたことか。

まさか最近のロックの話からこんなつながりが生まれるとは思ってもみなかった。

たった1つの接点があっただけで、彼女との距離はぐっと近くなった。

英会話だけでは突破できない壁は1つ超えたと思った瞬間だ。

これだから旅は止められないよ。

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写真は、さすが音楽を教えるだけあって、冷蔵庫の上にも音楽関係の本で一ぱい。

だけど何の本かはわからなかった。

 

その夜、かなり早く寝るために部屋に早々にこもってしまったが、隣のベッドルームから、彼女の友達か音楽仲間なのか、今日の出会いを報告しているのが聞こえてきた。

「今日泊まりに来た日本人が、デンバーのREDROCK野外シアターに行ったことのある人なのよ。なんて羨ましいんだろう。行きたくなったよ」

とかなんとか音楽ネタで盛り上がっていた。布団の中で聞いていたので、それが夢だったのか現実だったのか、最後まで確認できないまま。