レンタカーの一角が崩れたときにふとフラッシュバックで蘇る、旅先の出会い。
旅、特に海外に出ると、本当にいろんな人に出会う。
とてつもなく変な人だったり、素晴らしい人だったり。
助かったことや、ちょっとだけ残念だったことも(オーストラリアに関して言うと、残念なケースは出会った人の確率から、稀です)。
でも、どちらかというと変な(strangeな)出会いって、やけに記憶に残っています。
それはさかのぼること2007年のパースでの旅の出来事。
まだ、次男がおむつをはいて、ベビーカーで昼寝をしていることでした。
ちょうどこれからレンタカーを借りて、6日間の旅に出ようとしていた時のこと。
すでにネットの時代になっていたというのにも関わらず、日本でレンタカーの事前予約の手続きを行わず、すべて現地に行ってからレンタカーショップを回り、安いクルマを探そうと走り回っていた当時。
パースを訪れたのはその時が4回目でしたので、土地勘はありました。
ですが、レンタカーの借りる感覚は持っていなかった。
大手ではすでにほとんど当日の予約で空いているクルマがなくなっている始末。
前振りがだいぶ長くなってしまいましたが、お待たせしました。
本題はここから。
ローカルの、しかもパース市内しか営業していないようなレンタカー屋探しでハシゴしていた時のこと。
あるレンタカー屋さんのカウンターで、ふと同じようにレンタカーを探している若い中国人に出会いました。
顔つきを見る限り、20代前半の大学生くらいでしょうか。
親のお金で旅行しているのか、オーストラリア在住なのかわかりません。
その中国人も、これといったレンタカーを見つけられなかったようで、カウンターを離れて店をでてしまいました。
数分後、自分も同じくお店を出たところで、「彼」に捕まってしまいました。
「ねえねえ、レンタカーを探しているんでしょ?」
自分の回答「ええ、そうです。なかなか見つかりません」
「だったら、一緒に探しませんか?レンタカーをやめて」
ん?レンタカーをやめて、いったい何を探す??
「レンタカーをやめてどうする気なんですか?」
「クルマを一緒に買いませんか?」
なんだ、こいつ、かなり狂っている?それとも、こっちをだましてクルマを買わせて、ただ乗りしようとしているのか??
「クルマを買うって、こちらは旅行者。あと1週間もすれば帰国するし。あなたは?」
「・・・(答えない)」
「そんなリスクのあること、できないよ」
すると、リスクに反応したのか、返事がきた
「行先が決まっていないなら、一緒に旅をしよう(といったと記憶)」
な、なんなんだこいつは。やっぱり怪しい。
「で、一緒に旅して終わったら、どうする気?」
「クルマを売るんだよ。最初に買った時よりも、高く売るから」
ますます意味が分からない。
「だって、1週間乗ったら中古車でしょ。しかも傷とかつくかもしれないし」
「大丈夫、高く売れるから。」
なんという楽天的な発想。絶好調の時の中国人は、論理的な思考が停止し、楽観論で押し切る。何かを踏み出し、人に説得するときなど、かなり論理的に話をするのに、いったいどこに行ったのか、その思考法は?
「どうして大丈夫って言えるの?(と自分は質問したはず)」
「なぜなら、オーストラリアは経済絶好調だから、クルマの売っていない地域に行って、言い値を言えば、売れるんだから」
一体、どこの誰の情報なのか全く想像ができない。
こんな超楽天的な発想をする日本人はおそらくいないだろう。
反対に、こんな変なことを、中国人はいつも発想しているんだろうか。
いや、彼だけだと信じたいものだ。
「いい話だと思うんだけどね。じゃあ、いい旅を」
と言い残して、街なかに消えていきました。
こいつがこのあと、どこに、誰と、何をしたのかわかりません。
単にこちちをからかいに来たのか。はたまた本気でクルマを買って、どこかの町で売っぱらって、儲けが出たのか。
儲けが出ても出なくても、それなりに彼は楽しめたのだろうか。
そういえば、人生、どうなるか、良くなるか悪くなるかは、わからないという故事
「人生、塞翁が馬」は中国の故事でしたよね(わからない人は是非ググって下さい)。
これを地で行く人生、そして旅を送っているだろうか?
それとも、結婚でもして、中国かどこかで家庭を築いているんだろうか?
はたまた、パースに根をおろし、自動車販売かレンタカーの経営でもしていたら、なお面白いだろうなあ。
あ、こちらが勝手に彼のことを想像して、おおいに楽しんでしまいました。
そう、こんな出会いができるのも、旅ならでは。
だから旅は止められない~!
そして、安全なオーストラリアでも、このような人がいるんだということも!
しかし、旅先にはまだまだ上手が潜んでいました。