ホントに楽しい!オーストラリア

~楽しいからには理由がある~

サメとサーファー (ちょっと長文)

先月、女性のサーファーがサメに襲われ、噛まれたことに対して、一緒にサーフィンしていた彼氏がサメを何度も殴って撃退したニュースがあったことを記憶している人も多いかと思います。

www.cnn.co.jp

このできごとがあった数日後に、なんとあのNHKの夜7時か9時のニュース番組にでも放送されて、個人的にはびっくりしましたが、日本でも全国ニュースになりました。

サメを殴って追い返すなんて、滅多にある話ではないし、こんな武勇伝を聞いたら、世の中の女性はメロメロ(あ、表現が昭和的だ!)になっちゃうかも(笑)

NHKがどうして全国ニュースに流したのかわかりませんけど。

 

かといって、助かった話ばかりかというとそんなこともなく、やっぱり襲われている例もあります。

今年6月、東海岸クイーンズランド州ブリスベン近郊のビーチの沖合いで、サメに襲われて男性が亡くなった

www.afpbb.com

この時、すでにオーストラリア国内で3例目だったそうですが、実際にサメに襲われて亡くなる件数はそれほど多くはありませんが、それでも日常茶飯事の1コマになりつつあります。

(とっても、やっぱり襲われて亡くなってしまうので、恐ろしいことには変わりありません)

ここで、このニュースを毎年見ていて、いろんな側面から考え事をしてしまいます。

(やっぱり、それだけオーストラリアが気になっていることでしょうか)

 

・まず第一に、先ほどのブリスベン近くのビーチで亡くなった記事の写真にありますが、「サメ注意」の看板が出ています。

つまり、ここで泳ぐとサメに襲われるので、ここでは泳がないように、と普通は思うはずです(実際、このような看板があるところのどこかで毎年サメに襲われて亡くなっているんですから)。

それでも、遊泳禁止区域といっても過言ではないところでサーフィンをしようとしているのは、たぶん波が良いからなんでしょうね(空いているからではないと思います。日本の湘南のように激込みしているビーチは数えるほどしかありませんから)。

 

良い波だとサメが出没しやすいかどうかはわかりませんが、他より確率が高いということでしょうか。

話が逸れてしまいましたが、では事故にあってしまったら、大騒ぎになるんでしょうか?

 

日本なら数日は大騒ぎになると思います。

「なんで遊泳禁止と看板が出ているところで泳ぐんだ」「泳いだ人間が悪い」「もっと看板を出せ」「若者には責任はない。自治体が悪い」「サメを駆除しろ」「サーファーへの教育が足りないんじゃないか」などと色々と出てきそうですね。

ひどい場合だと、亡くなったサーファーの両親、友人、住んでいた家など、プライバシー関係なくマスコミの前に登場することもあるでしょう。

 

ところが、オーストラリアでここまで(白熱すること)にはなりません。

 

少年少女のティーンエイジャーなら別かもしれませんが、もう成人扱いされる男性・女性。自分の判断で行った行為であれば、自分で責任を問われるんでしょう。

回りの人がどうかとか、誰が悪い・良いとかまで話が発展することはありません。

(逆に誰にも公には守ってくれないようです)

 

そういう意味ではそれぞれが大人の対応をしていることが感じ取れます。日本だと、マスコミは視聴率さえ取れればいいつもりでしょうが、オーストラリアだとこんなことでは視聴率は取れないのか、そもそもこの程度のニュースは1,2回放映して終了するのが一般的なルールなのかはわかりませんが、ニュースの取り上げ方が大きく異なるなあ、と感じます。

 

・今度はサーファーからの目線で考えてみました。

 (ちなみに、サーフィンをしたことがないのであくまで想像です)

もし、サーファーがどうしても良い波でサーフィンしたいけど、サメがいるので、それができない。なんとかして欲しい、と行政に駆除を頼み込むサーファーがいるなんて話を聞いたことがありません。もっともオーストラリアはサメの生息世界最大級。

だから駆除できないことはみんな知っていることなんだろうとは思います。

 

オーストラリアはサーフィン文化がとても盛んのため、今後もサメとサーファーが出くわす件数は減ることはなくても増えることは大いにあるでしょう。

 

だからと言って「サメをなんとかしろ」という声が大きくならないのは、そこはオーストラリア。

自然と人間の共生は当たりまえで、自然(動物)との共生では事故が起きてもやむを得ない、と捉えていると聞いたことがあります。

 

多くの人に聞いたわけではないので、みんなそう思っているのかわかりませんが、個人的にはなぜか納得してしまいました。

 

なぜなら、多くの自然があっての人間の生活が成り立っているわけです。

その自然が我々人間に何かしようとしても、仕方のないことと受け入れるしかないと、オーストラリアの人はある意味腹をくくっているんじゃないか。そう思うようになりました。

自然を克服しよう、コントロールしよう、切り開いて人間が快適に生活できるようにしよう。これはオーストラリアを含めて世界中の人間が自然に対して行っていることです。

結果、地球温暖化は進み、台風や大雨が巨大化し、森林火災と大干ばつが発生し、コロナをはじめ、動物(そして未開の植物も)との接触の機会が増えることによって多くの病原菌と触れ合う機会が増加しているのも、みな自然界からしっぺ返しを受けているからです。

その点、まだオーストラリアでは豊かな自然、どうにもならない自然を受け入れて、自然と共生しているように見えるといったら言い過ぎでしょうか?

 

このあたりは、普段生活しているオーストラリアで生活しているオーストラリアの方々にいつかインタビューしてみたいと、ずーっと前から聞いてみたいテーマです。

 

今日は長くなってしまいました。