いよいよ新世界に突入の時が来た。
それは、ハーフマラソンの半分(ハーフ)、つまり21キロの約半分10.5キロだ。
フルマラソンのランナーにとってはたかだか1/4。
それでも、10キロは10キロ。等しく変わらない。
しかし、ここはオーストラリア。
単なる折り返し地点だろう。距離とは関係ないだろう?
と思って、一度立ち止まってスマホのツールで走ってきた距離を見てみた。
(そして、まだ写真を撮る余裕もある!)
画面には
「11キロ」
をはるかに超え、そろそろ12キロに差し掛かろうとしていた。
はは、そんなものです。ここまでの経験を踏まえれば。
それにしても、よくここまでペースを落とさずに来れたものだ。
確かに日本でのアップダウンが続く道とは違い、シティのシンボル、フリンダース駅を出てからほぼ平地だ。
だから、12キロという新世界に入っても、ペースを変えることなくここに至ったのだろう。
そう考えると、まだまだ行けるのではないだろうか。
呼吸も嘘のようにまったく苦しくない。
「はあはあ」という周りからの苦しそうな息遣いと自分はまるで別世界だ。
足に痛みも全くない。上半身の疲れもない。
あと1キロ半でこのアルバートパーク湖一周の旅ともおさらばである。
今は道幅も広くなり、ごぼう抜き中だ。
トイレ休憩に時間を使い、一時はどうなるのか、一時は万事か。
とも思ったが、とても楽しかった。
さあ、公園からいよいよ街中に戻る時間だ。
時計の針は相変わらず日本のの時差2時間のままだが、現地時間で計算し、
スタートから約1時間半が経とうとしていた。
既に今までの人生で一番長く走り通している。
空は引き続き、写真の通り青いままだ。
このまま今日は1日雨は降らないだろう。
そう確信した瞬間だった。