グッバイ、アルバートパーク湖。
ハロー、アゲイン。セントギルダロード。
再びセントギルダロードに戻ってきた。
戻ってきたのは、我々だけではない。
フルマラソンのランナー達も同じゴールに向かって、同じセントギルダロードを走っている。
つまり、フルマラソンランナーと合流して、ゴールのMCGに向っているのだ。
ここまでフルマラソンランナーである私たちは約12キロは走ってきた。
自分にとっては最長記録だ。
ここまで来たのだから残り半分は歩いてもいいし、歩いたとしても残り10キロ。2時間半でゴールできる。無理する必要はない。
でも、まだ身体も呼吸も全然問題ない。
(だったらまだ走れるな)
そう思ったとき、周りの雰囲気が変わっていることに気が付いた。
明らかに全体の走るペースが上がっている。
なんでだ?
この数キロ、全員を抜いてきた。
それが、今度は逆、ほとんど抜かれている。
抜いていったランナー。それは、フルマラソンのランナーであった。
さすがにエントリーして完走しようとしている面々だ。
みな鍛えられた男女のアスリート。そういう風に見える。
気が付いたら、自分のペースは結局スピードアップしていた。
ここは流れに身を任せてみよう。
ここで謎だった1つが解けた。
アルバートパーク湖を走っていて「女性のランナーが多いな」
と思っていたが、実はそうではない。
男性のランナーが「少ない」のだ。
男性のランナーは、普段鍛えているならみなフルマラソンの方にエントリーしているのだ。
その代り、女性のランナーは比較的ハーフマラソンの方にエントリーしているわけだ。
数えたわけではないが、12キロ以降、フルマラソンのコースと合流したあと、なんとなく男女半々のように見えた。
そんなことをあれこれ頭の中が考えているうち、標識が見えてきた。
「14キロ」地点だ。
ハーフマラソンだと、21キロのうち14キロは、全体の約2/3まで来たということだ。
凄い。あと残り1/3なんだ。
この地点にきて、フルマラソンで前方を走っていたランナーがぽつぽつと歩いている。
彼らにとっては残り1/6。
既に相当走ってきているはずなので、心身共に相当なダメージを受けているはずだろう。
それでも、ダメージに負けずに走るフルマラソンのランナーたち。
その中には女性も男性も高齢者もたくさんいる。
素晴らし過ぎる。(いつの日か、このメンバーの中に混じって走ってみたい!)
ふと時計に目をやる。
時間はまだ11時にもなっていない。
少々陽が高くなり、ようやく気温も上がってきた。
今まで出なかった汗もこころなしか噴き出してきた。
多分、先を行くランナーたちも相当熱くなってきているんだろう。
そういえば、この区間(肝心な時に)給水がないぞ。
車線の半分は規制を解除したのか、片側でクルマが走っている。
路面電車の本数も増えている。
路面電車の乗客が無邪気に我々ランナーに手を振っている。
自分も元気をもらいたいので、乗客に手を振りかえす。
気が付いてくれたのか、再度乗客から手を振ってもらう。
そして一言、二言。
「グッドジョブ!」「ナイスラン!」
フルマラソンのランナーに負けることなく、同じスピードに乗って14キロの表示ははるか後方に消えて行った。