クレイドルマウンテンの野生ウオンバットにひたすら感動し、そして別れを告げ、
次の目的地でもある、デビルズ・アット・クレイドルへ。
ここはタスマニアデビルの保護も兼ね、餌やりも見れる、ほぼデビルのための
動物園といってもいいでしょう。
できるだけ自然の状態ですごさせるために、屋根もなく、だだっ広いエリアには
敷居となる壁があり、それぞれのエリアで2-5匹のタスマニアデビルが飼育(観察を兼ねてます)。
とにかくたくさん観察できる場所としては、もしかしたら最大級かもしれません。
けど、時間がずれると小屋にこもって寝入っていると、まったく出てこない
(実際、そんなエリアもありました)
ここの本命の話題はウオンバットでしたね。
なぜ、デビル・アット・クレイドルの動物園に、ウオンバットが??
夕方の園内サービス終了時間17時前の、16時40分。
ほぼ最終のお客になりましたが、なんとか入園。
動物園ですが、一応は野生動物が入り込める隙間はあるみたいで、園内でワラビーの親子もいたから、他の動物がいるかもね。
そう思いつつ動物園内の見学を一巡したところで帰ろうとしたところ、
最後のタスマニアデビルの見学コーナーの外の茂みがもそもそと動いている。
また何かの小動物かと思って子供たちが早速探したところ、
「こんなところにウオンバットがいる!」
なんと、野生のウオンバットが園内にまぎれて、まるで住み着いてしまったみたい。
もう二度と野生のウオンバットに会えないと思っていたところで再会。
こんな素敵なプレゼントは一生の間でそうそう無いだろう!
今度は、クレイドルマウンテンの世界遺産地域で遊歩道があるのとは違い、ここはすべて地面。
距離にして5メートル以内。
触ろうと思えば、いくらでも触れる距離。
そして、人間を恐れないことはこちらも経験済みなので、近寄っても大丈夫と判断。
ウオンバットはわれ関せずひたすら餌を食んでいる。
もう触っても問題ないだろう。野生だけど。。。
早速全員で近寄る。
ウオンバットまったく逃げる気配なし。
さらに近寄って、まずは子供たちからウオンバットの背中をさする。
次に大人。
相変わらずふさふさとして、毛並みが気持ちよい。
さらに近寄って、草を食べている最中の顔つきや足の大きさなんかも観察。
散々近くで見ていたら、ちょうどタスマニアデビルの餌やりの時間だったのか、
係員が通りかかり、我々の行動を見つけて(こちらとしては「やばい、見つかった」
という心境でしたが)、こう言った。
「フラッシュを焚かなければいいので、それ以外は気をつけてね」
くらいの感じだったかな。
あれ、どういう意味だろう。
だからといって、子供たちに抱っこをさせることはしたくない。
野生ということと、今後来るであろう人間に対して、嫌な思いをさせたくない、
そもそも抱っこの姿勢もはっきりとはわからない。
ここはひたすら背中をさするだけでも十分だろう。
けど、子供たち、特に次男は
「ねえ、持って帰りたい。だめ?」
だめに決まっているでしょ!
でも、この愛くるしさを見ていると、そう言いたくなる気持ちも十分にわかります。
それでも、日は傾きつつあり、我々もホテルに戻って夕食を食べる時間を迎える。
予定を大幅に過ぎて18時半になろうとしている。あまり時間はない。
とはいえ、すでにウオンバットと30分は一緒に過ごしている。
「じゃあ、ウオンバットに別れの挨拶をして、そろそろ行こう」
そう声をかけて、我々は後ろにいるウオンバットを振り返りつつ、出口にゆっくりと向かう。
すると、どうだろう。
あれだけ我冠せず餌である草を食べ続けていたウオンバットが、我々のほうに向かって歩き出した。
「ねえ、ウオンバットが歩いてこっちに来るよ」
と子供に言われて振り向いた。
なんとなく、少し移動しただけでしょう。まさか、ねえ。
そう思って少し早めに歩き出したら、今度はウオンバットも歩みを速めた。
確実に付いてきている。なんということ。そんなことありえるのか?
園の出口を出るには園内の1階から2階への階段を登ら無ければ出れない。
まさかそこまでは来れないはず。
振り返りながら別れを言うつもりのウオンバットのまさかの行動。
ウオンバットが階段を登ってきた!しかも急ぎ足で。
あの短い足でよく階段を上がれるものだ。
明らかにわかったことは、子供の後を追いかけている。
人間の大人の大きさだと直感で脅威を感じるのだろうか。
小さい子供だったら、脅威を感じないのだろうか。もしかしたら野生の本能で感じ取っているのかもしれないと、こちらも人間の直感で判断。
それはともかく、このままでは出口まで一緒に出てしまう。
仕方なく(いや、もう少しウオンバットと一緒に居たかったこともあるけど)いったん階段を降りる。
するとウオンバットも一緒に下りてくる。
階段を下りたことを確認してから、我々は猛ダッシュで階段を上がり、最上段にある扉を締め、ウオンバットにはあきらめてもらった。
内側の扉には、次のような張り紙が。
ああ、そういうことね。
「今日は若いウオンバットが探検しているので、後ろの扉を閉めてください」
ヤング ウオンバット。あはは、まだ子供だったのか。
人間が好きになったのかな。
係員の言っていることもなんとなくわかった。
つまり、フラッシュさえ焚かなければある程度ウオンバットが嫌なことをしなければOKだったかもしれません。まあ、背中や顔を触ることくらいでしょうか?
(あるいは、草をとってきて、餌としてあげるとか・・・)
扉を閉められたウオンバット。
もう無理と察したのか、1匹で階段を降り、一人さびしそうに園内の奥深く、ゆっくりと消えて行きましたとさ。
クレイドルマウンテンで、もし悪天候で山登りができないとき、周辺の施設でも十分に楽しめることができます。きっと一生思い出に残る体験ができるでしょう!
写真:2017年3月30日