最終日。帰国便は夜だったため、彼女の家を出るのは夜の8時半過ぎでも間に合う事がわかっていた。
そこで、夕方まで買い物やお土産を買いまくり、夕食前に一旦荷物整理のために戻ることにした。
夕方5時。
少し早めに帰宅して、重い荷物を降ろしてからメルボルン最後の夜の夕食に出かけることにした。
夕食も少し早めに出かけよう。
ちょっといいものを食べたいから6時にはレストランに着いていたい。
逆算すると5時40分には出なければならない。
彼女の帰宅が遅れると本当に会えないまま、メルボルンを立つのかもしれない。
と思っていた矢先、彼女は5時半前に一旦帰ってきた。
「ハロー!」
って、あまりにも簡単すぎる。まだ数週間は居続ける居候人のような扱いだ。
さすがオーストラリア人。この明るさが好きなんだよね。
「そろそろ夕食に食べに行って、また戻ってきて、8時過ぎには出るから。その時間にはもう会えないから(彼女はこれから外出してしまう)、本当に最後ですね」
「そうね。会えて楽しかったよ!(と言ったと思う)」
そして、軽くハグ。
彼女は彼女で、友人と食事するのか、パーティーにでも行くのか、身支度のため、あら、もう部屋に行ってしまった。
「キーはしなくても大丈夫だからね」
朝言われたことを復唱してくれた。
大丈夫、忘れてませんから。
「それでは、これから食事に出かけるので、本当にありがとうございました」
こちらは日本流にあいさつをした。はずだ。
一方、彼女の最後の言葉は
「じゃあね、気を付けて」
とドアを出ていくというのに来ることもない。部屋の遠くで軽く手を振っているだけ。
まるで「行ってきます」「いってらっしゃい!」
のあいさつの延長線のようなものだ。そう感じた。
自分はそのまま食事に出かけ、8時前には部屋に荷物を取りに戻ってきた。
当然彼女は外出していて、帰国の途につくときには彼女は戻って来ない。
本当にShe is gone! あ、行ってしまうのは自分の方だったな。
今頃彼女がどこかのレストランで楽しい食事をしている頃だろう。
3日間という、短いながらもいろんな思い出が詰まった彼女の家(アパートメント)ともお別れ。
そして、また必ずメルボルンには絶対に戻ってくる。
出来れば英会話力もアップさせて。もっと深い会話ができるように。
しゃべることのできない鳥かごの鳥に「じゃあね」と呼びかけ、部屋を後にした。
本当にドアのキーはかけず、お借りしたいたキーは部屋に置いたまま。
正面玄関はフリンダースストリート沿い。改めて絶好のロケーションだったと。
後日。帰国してからAirbnbから、お互いのコメントを出すことになっている。双方がコメントすればお互いのコメントが見れる仕組みになっている。
当然自分はたくさんのお礼を書いた。一方の彼女も書いてくれた。こうあった。
He is a delightful guest.
え、楽しい客だった?他のゲスト(宿泊客)へのコメントには、こんな単語は出てきてないぞ。
そして、もう1つ。
full of energy and enthusiasm for life.
エネルギーと熱意に満ちています、とあった。ええ、ほんと??
楽しさ、エネルギーは彼女の方が相当上手。
彼女も自分をそう見てくれているんであれば、嬉しい限りだ。
ひと時でもお疲れサラリーマンを抜け出たのかもしれない。
そして、2014年で最高の思い出がまた1つ。
更に2015年に思い出を作りたくて、頭の中では既に次の計画が回り始めていた。