ケアンズ郊外のとあるフルーツ系ワイナリー
オーストラリアを旅していると、まずもって日本では会えないような旅行者にたくさん出くわすことができます。
不思議なことに、こちらから追い求めていないのに、なぜか会ってしまうんですよねえ。
ワイナリーをドライブしているときにも、いろんな人に出会いました。
基本的に、ワイナリーをクルマで回るような人たち(ツアーではなく、個人客)は総じてお金があるほうだと思います。
特に外国人でワイナリーを回る際は特に。
なんせ、私たち貧乏系日本人と違い(中にはお金持ちの日本人もいると思いますが)、彼らは数10本単位でワインを購入していきます。
その場でカード決済を済ますと、すぐに国際便に積み込むため、運送の伝票に記入する始末。
ワイナリーのワイン購入に80万から100万、もちろん円ですよ、円! も使うらしいので、半端ない規模感です。
1本500円計算で、200本相当!
1本2000円のワインを、ワイナリー1か所で買う自分にとっては、違う世界の人間たちです。
と、お伝えしたかったのは、この人たちではない。
これだとまだまともな部類に入ってしまいます(それでも、豪傑系ですよね☆彡)
さて、ワイナリーで出会った、どちらかというとマッスル系。
ワイナリーは、どんなに近くてもシティからクルマで30分は離れています。
しかも、ワイナリーは平地では栽培しにくいため、丘陵地帯にあるのが普通です。
(日本では、山梨県勝沼や笛吹といった、盆地での栽培が有名どころ)。
そんなアップダウンが激しいワイナリーに、若い、マッスル系の男が自転車でやってきます。
まあ、いろんなところに点在するワイナリーには、必ず出くわす光景ですが。
その中でひと際驚かされたのは、2011年7月、アデレード郊外のワイナリーで出くわした、ある若者。
見るからにヨーロッパからやってきたように見える、典型的な西洋人。
しかも、貧乏旅行丸出しで、きているシャツはよれよれで、乗っている自転車も10年以上乗りつぶしたママチャリのごとく、古ぼけたままアップダウンを繰り返してきたようだ。
お金ないのに、なんでワイナリーに??
まあ、それなりに観光地ではあるので、お金掛かるよなあ。
と、たまたま自分たちが止めていたとあるワイナリーの駐車場に、彼の自転車が滑り込んできた。
思わず(こちらが不思議そうに)見とれていると、向こうからすかさず
「ハロー!」こちらも「ハロー!」
普通の挨拶です。悪くない感じ。
「どこに行くんですか?」
とこちらも何気なく(しかも当たり障りのないはずの)質問を聞いてみたところ、意外にも
「決めていない」
と回答。え、決めてなくて、自転車でわざわざアップダウンの激しい、郊外のワイナリーまで、いったいきみはなにしにここに!
「このあとはどうするんですか?」
と、速攻で回答を期待してみたら、少し間をおいてからの回答に絶句。
それは、
「お金がない。どうしていいか、わからない」
ええ。海外旅行でもうお金がない!
どうするつもりなの!
この言葉を聞いて、なぜか反射的に「あ、これ以上いると、やばいのかも!」
と勝手に脳が働いてしまい、クルマに乗りこむや否や、次のワイナリーに向かってしまいました。実際、ワイナリー巡りの時間はかなり押して、数時間遅れだったし。
今となっては、少々かわいそうなことをしたのかな。
それとも、いとも簡単に騙されてしまうところだったのかな?
彼がそのあと、無事思い通りに旅を続けたのか、速攻終了し、本国強制送還となったのか非常に興味がありますが、今となっては知るすべはありません。
勝手な想像をしていた当時をなぜか急に思い出してしまいました。
旅ってどうして、こうどうしようもないことも記憶しているんでしょうかね。