16キロまで来た。残り5キロ程度。
ここにきて急に人が減りだした。写真のとおり、人もまばら。
歩き出したランナー、先に行ってしまったランナー。
それにしてもオーストラリア人のスタミナもすごいものだ。
いくつかのカップルはいまだに話をしながら走っている。
ある女性のみの集団も、2、3人で話し込んでいる。
到底完走なんてできないような体型では?、と狭い理解の中で
??が付くようなランナーたちも、完走する勢いだし、自分が追い抜かれるほど
速いペースで走っている。
今までの常識が覆された。
ふと前方左斜め前に目をやると・・・
アルバートパーク湖を1周している間の、約半分の8キロ付近で、どう見ても70歳以上に見える女性のランナーがいた。
自分の方が後方だったので、後ろ姿しか確認できない。
背丈150センチ。腕の振りはダランと伸びたままで、上半身を有効に使っているとは思えない。ただペースを変えずに走っていたようだった。
途中、自分がトイレの為に8分のロスをしている間に、先に行ってしまったんだろう。
そして、16キロ過ぎて、ようやく追いついた。
いやいや、そうではなく、16キロ過ぎてもペースを変えずに力走していたのだ。
いろんなランナーがいるとはまさにこのことだ。
少しペースは自分の方が上だったので、先を行かせてもらった。
その後。沿道。
セントギルダロードを下って行った前半の時と同様、戻りの時も沿道はまばらだ。
高層ビルも多くなり、カフェもぽつぽつ見えてきたが、ランナーに関心を持って声を掛けてくる人、まったく関心を持たない人、こちらもそれぞれだ。
ただ、行きとは違うことがある。
それは
「ハイタッチ」
右手を高くだして、ランナーと連続してハイタッチしてくれる人が出てきたことだ。
最初はやったことは無いし、慣れないし。やってくれるかどうかもわからない。
だが、たまたま前方で(人気のある人でもいたのか)連続でハイタッチしている人がいたため、自分もランナーの列に混じり、その人に近づいてみた。
約1メートル50センチ位のところで手を出してくれた。
「パチン」と音が出るほどではないが、確実にタッチはできた。
「ああ、沿道の方とつながっている」
なんとなく一瞬、いったいとなったことを瞬間に感じた。
いいじゃないの。この感覚。
そして、これ以降ゴールまでの間に何度かハイタッチを試みようと考えた。
これからまだ体力が低下し、とてもそんな元気がなくなるなんて思いも寄らなかった、
18キロ手前のことである。